エゴ・レジリエンス(Ego-Resilience:略称エゴレジ)とは,「状況に応じて柔軟に自我を調整し,日常的なストレッサーにうまく対処し適応できる力」と定義されています。これは,米国のジャック・ブロックという先生が,スタンフォード大学の大学院生であった1950年に提唱されたものです。

ブロック先生は,その後カルフォルニア大学バークレー校でおよそ40年,エゴレジの実証研究を続けられました。とりわけ,パートナーであるジェーン先生と共に1968年から始められた30年以上に及ぶ大規模追跡調査は「ブロック・スタディ」と呼ばれ,国内外の多くの研究者たちが携わってきました。日本から参加された研究者(清水弘司先生)もいます。

エゴレジ研究所の小野寺は大学院生当時、日本での調査研究の翻訳などで参加しています。エゴレジは、2010年にブロック先生が逝去された後も、多くの共同研究者たちによって受け継がれています。

近年は、フレドリクソンをはじめとする多くのポジティブ心理学の研究者によって、エゴレジは重要な指標として用いられています。何より、偶然9.11 アメリカ同時多発テロ攻撃(2001)の前後に測定されたエゴレジのデータ分析1では、エゴレジの高い人はポジティブ情動によって抑うつを和らげること、生活満足度、楽観性などの心理的リソースを増加させること、直面した問題の中にポジティブな意味合いを見つける傾向が強いことが明らかになり、注目されました。