エゴレジは、日々のストレスに直面した(メゲた)とき、自我egoを調整しバランスをとって元の適応状態(元気な自分)に戻ろうとする力です。

では、どのようにエゴの調整をするのかを考えましょう。それは、一方に衝動や感情を過剰に抑制する超自我よりの働きである「オーバーコントロール」と、もう一方に衝動や感情を容易に表出してしまうエス(の快楽原則)よりの働きをする「アンダーコントロール」という2つの間を柔軟に調整する力です。

例えば、締切を目前にした仕事中など、どんな誘惑も退けて必死に頑張っているときは、オーバーコントロール下にあります。逆に、締切に間に合って一仕事終え、軽く一杯やってカラオケで唄っているときは、アンダーコントロール下にあります。臨機応変に、つまり時と場合によって、その状況に適したレベルにオーバーとアンダーを柔軟に調整する「スイッチ」がエゴレジで、誰もが持っている力です。

もちろん個人差はあります。オーバーコントロール傾向が強いのが「自己抑制タイプ」です。このタイプは、何事にも手抜きしないで取り組む、几帳面、自分にも他人にも厳しい、どちらかと言えば一人でいることを好む、臆病、恥ずかしがり屋で控えめ、といった特徴があるとされています。またアンダー・コントロール傾向が強いのが「自己解放タイプ」です。このタイプは、自由奔放、よく遅刻する、すぐイライラして怒る、エネルギッシュで元気がいい、じっとしていることが苦手、注目の的になるのが好き、マイペース、といった特徴があるとされています。どちらのタイプも程度が過ぎると、心の健康や社会性という点から困ったことになりかねません。

エゴレジはその場の状況に応じて、張りつめた緊張状態をリラックスさせたり、ダラ~っとして何でも先延ばしにしてしまう状態に喝を入れたり、「オーバー」と「アンダー」の間の「行ったり来たり」を繰り返すことで自我egoの調整をしているのです。言い換えれば、エゴレジは自分にとってストレスフルな状況であると判断したら、心のバランスを調整しながら対処し、精神的に安定した状態へと戻してくれている「スイッチ」のようなものです。

したがって、エゴレジが高い人は、何かイヤなこと、メゲてしまいそうなことがあったときでも、「オーバー」と「アンダー」のバランスを調整しながら、直面した課題を解決し、素早く元の状態に戻すことができるのです。