働く人にとって、まとまった休暇明けは「あぁ~明日からまた仕事かぁ」と何となく憂鬱な気分になりがち。正月明けの憂鬱は「正月病」「1月病」、ゴールデンウィーク明けなら「5月病」などとネーミングされるほど一般的な気分のようです。いつもの月初と仕事内容は同じなのに、休みの分だけ日程がタイトになって、いきなり残業。気を使わない家族や友達とマッタリと過ごした後で、急に周りの人間関係が煩わしくなる。そんなちょっとしたことの積み重ねがストレスになっていませんか?

エゴ・レジリエンス(略称:エゴレジ)は,そんな日常的なストレスと上手くつきあう力です。誰もが持っているパーソナリティ特性で、「エゴ」と「レジリエンス」の2つから成り立っています。心理学で「エゴ」とは自我・自己・自分のことを指しており、精神分析の創始者として有名なフロイトによって作り出された概念です。一方「レジリエンス」は、「外からの力が加わったときに、元の形に戻る力、はね返す力、弾力性」です。これが結びついたエゴレジは,日々のストレスに直面してメゲたとき、エゴのバランス機能を調整し元気な自分に戻ろうとする力なのです。誰もが持っている力で、これが弱っていると何でもないことにでもメゲたり落ち込んだりしやすくなってしまいます。

エゴには、一方に衝動や感情を過剰に抑制するオーバーコントロール(自己を抑制する)、もう一方に衝動や感情を自由に表出するアンダーコントロール(自己を解放する)機能があります。そしてエゴレジは、この両方の機能を上手く駆使してストレスに上手く対処できるよう調整してくれる力なのです。では、自分のコントロール傾向をチェックしてみてください。

いかがでしたか?

【A】に4つ以上チェックがついた人はオーバーコントロール傾向の「自己抑制タイプ」で、            【B】に4つ以上チェックがついた人はアンダーコントロール傾向の「自己解放タイプ」です。

どちらのタイプが良い/悪いというものではありません。自分のコントロール癖を知っておくことが大切です。いずれも程度が過ぎると心の健康や社会生活上に支障をきたすことになりかねないからです。程度の差はあってもストレスは避けられないもの。自分のコントロール癖を踏まえて、意識してエゴレジのスイッチを使うことがストレスと上手くつきあうコツです。

「自己抑制タイプ」の人は、粘り強くて生真面目な反面、切り替えが下手。何かで悩み始めると、なかなか前に進むことができません。悩んでいるうちに、どんどんネガティブな思考に陥りがち。気分転換に飲みに行っても、愚痴ばかりなんてことになっていませんか?ちょっとしたミスが忘れられず、次も同じ失敗をするのではないかと不安になります。そんなときの対処法は、意識してエゴレジのスイッチでアンダーコントロールへシフト。頑なな自分を少し解放してあげましょう。誰でもミスはします。ミスをミスとしてサクっと認めてしまえば、すぐに対処方法について考えることができます。ズルズルと引きずることはやめにして、一歩職場を出たら、プライベートを思い切り楽しむことです。それが次に進むための原動力になります。

「自己解放タイプ」の人は、自由奔放でパワフルな反面、場の空気や相手のことを思いやるのが苦手。マイペースが過ぎて約束を守らなかったり、不用意な発言したり、やっておくべきことをしなかったり、そのくせちょっとしたことでイライラしたり…結果、周りの人に迷惑かけて、無神経とか自分勝手とか自己中なんて評価を受けていませんか?気づいたら浮いた存在になっていたってことはありませんか?このタイプは、ストレスを周囲の人に拡散してしまいがちです。そんな人の対処法は、意識して行動する前にエゴレジのスイッチでオーバーコントロールへシフト。自然体の自分を少し抑えてみましょう。一呼吸分ほどの時間で構いません。ちょっと我慢して、自分のその場の状況を客観的に見る習慣をつけましょう。何か言う前に一呼吸。何かする前に一呼吸。最初は難しくても慣れれば必ず周りが見えてきます。そうすれば、何をしたらいいか、してはいけないか、何を言えばいいか、言ってはいけないかが自然に分かってくるものです。人間関係の揉め事も少なくなるでしょう。

エゴレジは誰もが持っている力ですから、意識してエゴレジを高め、素早く立ち直る力でストレスと上手くつきあいましょう。