落ち込んだり、メゲたり、ストレスフルな状況から立ち直るのに有効なエゴレジ。エゴレジは,エゴのバランス機能を調整し元の元気な自分に戻ろうとする力です。まずは、自分のエゴレジをチェックしてみましょう。

あなたのエゴレジは何点になりましたか?

このチェックリストを作成したブロック先生とクレメン先生は、次のように区分しています。

20点以下=超低めエゴレジ                          

21~26点=ちょっと低めエゴレジ

27~36点=まぁまぁエゴレジ

37~46点=かなり高めエゴレジ

47~56点=超パワフルエゴレジ

同じような失敗体験や対人関係の悩みに直面しても、前向きに取り組める人とそうでない人の違いを説明できるのがエゴレジです。エゴレジは理論的に導かれたものですが、多くの研究者(エゴレジの生みの親であるブロック先生やその共同研究者、さらに最近ではポジティブ心理学の研究者)が、さまざまな研究結果を報告し実証しています。

たとえば、Pals(1999)1はエゴレジが成人女性のアイデンティティ確立を促す重要な要因であることを報告し、Klohnen、 Vandewater、 Young(1996)2は、エゴレジの高い女性ほど中年期特有の生活への適応(心理的幸福感、夫婦関係の質、仕事領域での取り組み、身体的健康、身体イメージなど)が良好であることを明らかにしています。Ong、 Bergerman、 Bisconti、 & Wallace(2006)3は、エゴレジが、日常的ストレスに対処し生活にうまく適応するのに役立つことを実証しています。

特に注目したいのは、Fredrickson、Tugade、Waugh & Larkin(2003)4の研究で、9.11の同時多発テロ攻撃前後のデータ分析によって、エゴレジの高い人は、ポジティブ感情によって抑うつ感を和らげること、ポジティブ感情を通して心理的リソース(生活満足度、楽観性など)を増加させ成長すること、直面した問題の中にポジティブな意味合いを見つける傾向が強いことを公表しています。

日本の研究では、当研究所の小野寺が、エゴレジの高い母親は子育てに対し自信を持ち、子どもに合わせた柔軟な養育態度をとり、育児ストレスも低く、自分の子どもをのびのび明るい性格と捉えていたこと。エゴレジの低い母親は育児にイライラすることが多く、子どもは落ち着きがなくじっとしているのが苦手だと捉え、子どもの規則正しい生活への配慮も低いことを報告5しています。また、青年期の親子関係と無気力感の関係では、幼少期からの母親のほめるしつけが子どものエゴレジを高め、そのエゴレジが無気力感を軽減させる要因として機能していることを実証6しました。

また、身体的ストレスを軽減する要因としてエゴレジと達成努力が関連していること7や、唾液(クロモグラニンA)を用いた研究で、エゴレジの高い人はストレス負荷に弾力的な反応パターンを示したのに対し、エゴレジが低い人はストレスを長期化、慢性化するパターンを示し,ストレスに脆弱であることを明らかにしています8

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エゴレジは、誰もが持っている力です。ですから誰もがメゲた自分から立ち直ることができるのです。ただ、その力は人さまざま。エゴレジを高めることによって、ストトレスを跳ね返し、折れない心をつくることができるのです。

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1Pals, J.L. (1999). Identity consolidation in early adulthood: Relations with ego-resiliency, the context of marriage, and personality change. Journal of Personality , 67(2), 295-329.

2   Klohnen EC, Vandewater EA, Young A. (1996). Negotiating the middle years: ego-resiliency and successful midlife adjustment in women, Psychology and Aging, 11, 431-442.

3 Ong,A.D.,Bergerman,C.S.,Bisconti,T.L.,& Wallace,K.A (2006). Psychological resilience, positive emotions and Successful adaptation in later life. Journal of Personality and Social Psychology, 91, 730-749.

4 Fredrickson,B.L., Tugade, M.M, Waugh,C.E., & Larkin,G.R. (2003). What good are positive emotions in crisis? A prospective study of resilience and emotions following the terrorist attacks on the United States on September 11th, 2001. Journal of Personality and Social Psychology, 84(2), 365-376.

5小野寺敦子 (2008). ego-resilienceが母親の養育態度に与える影響,目白大学心理学研究紀要,4,25-34.

6小野寺敦子 (2009).親子関係が青年の無気力感に与える影響,目白大学心理学研究紀要,5,25-34.

7畑潮・小野寺敦子 (2009).エゴ・レジリエンスとタイプA行動パターンとの関係について,目白大学心理学研究紀要,5,107-116.

8畑潮・小野寺敦子 (2011).唾液中クロモグラニンAを指標とした心理的ストレス反応とエゴ・レジリエンスとの関連,目白大学心理学研究紀要,7,67-79.