🔴セルフ・コントロール  

エゴレジ力アップする方法の1つにセルフ・コントロールself-control があります。

石橋良造氏によれば、セルフ・コントロールの意味することを端的にあらわすとしたら、「やらない力」ということです。自分がやりたいと思っている目の前の具体的欲求(一次的欲求)よりも、自分の大局的な目標や価値観(二次的欲求)にしたがって行動することです。ありたい自分やなりたい自分のために、目の前の誘惑に打ち勝つ力ということです。

セルフ・コントロールは自己制御、自制心,意志力などとも呼ばれ、日々の生活や仕事で他者とうまくやっていくうえで欠かせないもの、いわば“心の筋肉”として働いています。しかし、誰にも覚えがあるように、その筋肉に蓄えられているエネルギーは時々枯渇することもあります。

フロリダ州立大学のR.F.バウマイスター教授によれば、甘いお菓子の誘惑に抵抗するために自制心を使った人たちは,その後,難しい課題に粘り強く取り組めなくなることが研究で明らかになったそうです。でも、この筋力は訓練で強化することができます。

🔴セルフ・コントロール能力を高める

行動や考え方のセルフ・コントロール能力を「対自分力」と名付けた小笹芳央氏は、これを8つに分類しています。図でご紹介します。

左右に並んだ2つの力は対極の関係で、どちらかが強いとどちらかが弱い。両方ともに強い人は希少な存在です。

セルフ・コントロール能力を総合的に高めるためには、「変えられることだけにエネルギーを集中させる」ことが大切です。

<1>自分 対 他人
「他人」に対してストレスを感じることは、よくあると思います。しかし、相手が変わってくれることを望み続けるだけでは、状況は何も変わりません。例えばある人に対して、「どうしようもない人だな」と思っているのであれば、「自分」がその人に対する指導方法や関わり方、ほめ方・しかり方を変えるなどして、まずは自分が接し方を変えてみましょう。すると、相手が変わる可能性が出てきます。自分が変わらないことには、相手との関係性は永遠に変わらないのです。

<2>思考・行動 対 感情・生理反応
<1>で「自分は変えられる」と述べました。何が変えられるのでしょうか。変えられるのは、「思考」と「行動」です。逆に、「感情」と「生理反応」は、ダイレクトには変えられません。例えば、失恋した時の悲しい感情や、仕事で失敗した時の悔しい感情から逃れることは困難です。生理反応は、自律神経の働きなので、自分ではなかなか制御できません。しかし、自分の思考や行動を変えることで、感情をコントロールすることは可能です。日常生活では、いら立つことや腹立たしく感じる出来事がいっぱい起こります。そんな時に腹を立てたり、イライラしたり、悲しくて落ち込んでも、その出来事は変えられないし、問題は解決しません。「腹立たしい」「悔しい」という感情はいったん脇において、自分の思考を変えます。ネガティブな感情から抜け出すのは発想の転換です。

たとえば、「これをきっかけにしてみよう」とストレスフルな出来事が起こった時に、頭の中でこのフレーズを繰り返して「ちょうどよかった」と考えるようにする。「もっと後にこんなことが起こったら大変だった、このタイミングでちょうどよかった」「この件をきっかけにして~を見直そう」という具合に、思考を切り替えるのです。

また、思考と並び、行動も変えられます。すごく腹が立って感情が高ぶり、前述の「ちょうどよかった」の発想でも気持ちがおさまりきらない時は、近辺を2~3km歩いてみることです。それが行動を変えるということです。歩き出すと不思議なもので、だんだん冷静になり「さっき、なんであんなにむかついていたのだろう」と思うくらいいら立ちが和らぎます。ぜひ試してみてください。ウォーキングでも、スイミングでも、歌うことでも構いません。全身を使った別の行動をすることで、感情の高まりは抑えられます。そうすることで、感情に振り回されることなく、思考と行動で自分をコントロールする術を身に付けることができます。

<3>未来 対 過去
未来は変えられますが、過去は変えられません。「そんなの当たり前だ」と思われるかもしれませんが、多くの人は過ぎ去った出来事にとらわれて、くよくよと思い悩みます。「あの時、~していれば…」「本当は~したかったのに…」という具合に過去を引きずったところで事態は変わらないし、何も生み出せません。それよりは、結果ではなく次を見据えて、この先(未来)のために、今どういう行動をとるかが大切なのです。未来は自分でコントロールできます

変えられることにエネルギーを注ぎ、変えられないことにムダなエネルギーを使わない。それが、セルフ・コントロール能力を高め、エゴレジ力をアップするコツなのです。