🔴カタルシス効果(心の浄化作用)  

カタルシス(katharsis)はギリシア語ですが、日本でもよく聞く言葉で、「心の中のわだかまりが解け、気持ちが浄化されること」を意味しています。「心の浄化」と訳されることもあります。

もともとアリストテレスが「詩学」に書いた悲劇論に由来し、「悲劇が観客に恐れと哀れみの感情を呼び起こし、心を浄化する効果」のことを指す演劇用語でした。精神科医のジークムント・フロイドが、催眠療法と泣くことをあわせて行ったヒステリー反応の治療のことを「カタルシス」と呼んだことから、精神療法用語として知られるようなり、その後様々な分野で使われるようになりました。例えば心理学や精神医学の分野では「抑圧された気持ちや記憶を言葉や行動にして解消すること」という意味で使われていますし、一般的にも「嫌な気持ちを解消すること」というような軽い意味合いで使われることもあります。

現在では、脳機能や心理学の研究も進み、心を浄化(カタルシス)するための様々な方法もわかってきました。

🔴カタルシスを実現する方法

心を浄化(カタルシス)する様々な具体的方法をサイコロジスト(心理士)村田芳実氏が紹介しています。

1.泣くこと

 カタルシスの本来の意味は「泣くこと」による心理療法です。ペットを亡くして泣くことや失恋して泣くことなど、泣くことがカタルシスになります。泣いて泣いて泣き尽くすことで、心がすっきりして、落ち着く効果があります。悲しい時、辛い時は泣いて、心の中にたまったストレスを吐き出して心を浄化します。我慢しないで、泣くことも心の健康を保つためには重要です。

2.新瞑想法・マインドフルネス

落ち込んだ状態が長く続くと、脳のストレスのコントロール機能が落ちてくることがあります。その機能を回復させるために有効なのが、瞑想法・マインドフルネスです。マインドフルネスを行うことにより、ストレスのコントロール機能を司る脳の前頭前野の活動が活発化するのです。マインドフルネスは不安障害やうつ病、パニック障害などの治療にも利用されています。

その詳細は、こちらをご覧ください。
NHKで放映「新・瞑想法 マインドフルネス」〜その効果や広がりをレポート〜 (URL:http://www.el-aura.com/murata20161108/

 3.偉大なものに触れる

天体望遠鏡で大宇宙に目を向けると、人間社会の雑念に囚われている自分小ささが実感されます。また、トレッキングで山の頂上に立った時も同様に自分の存在の小ささを思い知らされ、魂が浄化されます。人間は圧倒的で偉大なものには畏敬の念を抱くものです。それが宇宙や大自然、ピラミッドなどの巨大遺跡もその対象となります。

4.話を聞いてもらうこと、書き出してみること

辛いことがあったときに、話を聞いてもらうと心に蓄積したものを言葉として吐き出すことができ、心を浄化できます。話を聞くことをカウンセリングでは「傾聴」と言いますが、「傾聴」の効果の一つとしてカタルシスがあります。また、キリスト教では懺悔があり、懺悔し悪事を吐き出すことで、カタルシスの体験が得られるのです。

しかし、そもそも人との接点の少ないという人もいるでしょう。そういう人は、苦しかった出来事やそのときの気持ちをノートに書きだしてみると効果的です。気持ちを正直に表現する(書き出してしまう)ことが大切です。

 5.朝の散歩、通勤や通学でもOK

長期的な落ち込みにより、脳神経の連絡役を務める神経伝達物質の機能が低下することがあります。そこでオススメなのが朝の散歩です。朝の散歩は清々しく爽快です。日光が目に入ると、幸せホルモンと言われる神経伝達物質のセロトニンが分泌され、精神を安らかにします。また、歩くというリズム運動もセロトニンを分泌させ心を癒します。通勤や通学の徒歩でもこの効果はあります。

ほかにも、スポーツ観戦や実際にスポーツをすること、楽器の演奏やダンス、芸術作品を作るなど、自己表現出来るものなら何でもOK。カラオケなども効果があると言われています。絵やアートなどで、感情を表現し、気持ちの開放感を得る方法もあります。

私たちはどうしても、毎日の生活の中で精神的に不要なものをどんどん溜め込んでいく性質があります。そうしてモヤモヤが溜まったら、何かしらの方法でそれ放出してやる必要があります。つまりカタルシスが必要というわけです。エゴレジ力を発揮するためにも、うまく「カタルシス効果」を試してみてください。