🔴現実逃避  

いろいろやらないといけないことがあるのに、それを片付けずに先延ばしにしてしまう。また、何かの試験前や課題の締め切りが近くなると、「現実逃避」したくなるという現象があります。これは頑張っているにも関わらず、失敗してしまうかもしれないという恐れを抱くことに起因しています。精神的な負担が過剰になりすぎると、心にかかる負荷を減らすために自衛作用が働き、当面の問題を棚上げしようとします。

現実逃避(escapism)とは、現実に求められたり、何かしなくてはならない物事から意図的に注意や意識をそらすための行為や心理状態。困難な状況から目をそむけ、不安から逃れようとする防衛機制です。

現実逃避には2種類あります。一つは、どんどん深みにはまっていき、物事の解決には至らない悪いタイプのもの。例えば、お酒や薬物、ゲーム依存などです。

もう一つは現実逃避することにより、かえって仕事や家事の能率を高めることの出来るポジティブなもの。一時的な現象で、集中力を再び高めるために必要なプロセスともいえるでしょう。目の前の課題や問題から一時的に遠ざかり、疲れてきた精神状態を再び元のフレッシュな状態にリセットしてくれます。

🔴現実逃避の効用

現実逃避は、自らを現実の課題・問題から切り離し、目をそらすということです。置かれた状況から一時的に逃れ、充電するチャンスを与えてくれるので、現実との戦いにまた飛び込んでいけるようにしてくれます。そこにエゴレジ力を発揮するチャンスも生まれます。自分の感情から距離を置き、新鮮な気持ち、心理状態で再び問題に立ち向かえるようにしてくれるという効果が、現実逃避にはあります。

効果的な現実逃避はおすすめです。厳しい現実をうまく整理して対処する頭を作り出してくれます。ライフコーチであり自己啓発系サイト「Personal Excellence」の創設者でもあるCelestine Chua氏は、現実逃避とは防衛メカニズムであり、人生のマイナス要素から自分を守る手段なのではないかと話しています。

🔴現実逃避は「燃料補給」

心理療法士のMichael J. Hurd博士は、「現実逃避」という名称には否定的なニュアンスがあると指摘しています。仕事や家族、友人など現実世界の大切なものから「逃げている」印象を与えるからです。それが、「現実世界は、逃げたくなるような嫌なものだ」という印象につながってしまうのです。Hurd博士は、「現実逃避」ではなく、「燃料補給」のような名前で呼ぶよう勧めています。

どうしてかと言えば、心身を精神的・心理的に充電するために「燃料補給」を行うことで、当面の問題であるキャリアや結婚、人間関係、家族や子どもといった「一番大切なこと」にうまく対処できるようになるからです。空想や娯楽を通じた充電は、決して悪いことではありません。

むしろ「充電」、「私の時間」などと呼んでもいいのではないでしょうか。いずれにせよ、いわゆる「現実逃避」とは、「意地悪な世界」から「逃げる」のではなく、使ったエネルギーを取り戻す行為だということです。漫然と現実世界を避けているのではなく、再び戻る意志を持った上で、一時的な息抜きを求めているのです。

ただ、度が過ぎた現実逃避はよくありません。現実逃避は砂糖や塩のようなものです。振りかける量がほんの少しであれば、人生をより良いものにしてくれますが、多すぎるとすべてが台無しになってしまいます。仕事で問題が生じたり、人間関係にひびが入ったりしますし、社会生活から自らを隔絶してしまいかねません。生産性が急に落ちる可能性だってあります。

ちょっと現実逃避をしたくらいで、その人が怠けているということにはなりませんが、現実から逃げるうちに、現実を避けて通るようになり、やる気を失って、積極的にゴールを目指さなくなってしまうのです。バランスが大切です。

🔴エゴレジと現実逃避

ストレスフルな状況に応じて、自我(エゴ)をうまくコントロールすること、つまり誰もが持っているエゴレジ力を発揮するには、現実逃避という方法も1つです。エゴレジ力の高い人は、上手に現実逃避という方法で、燃料補給をすることができるのです。