エゴレジ力をアップするヒントでも紹介していますが、毎日の生活の中で「笑うこと」は、心身を健康にする効果があります。「笑い」は、自律神経の副交感神経を刺激して、心身をリラックス状態にしてくれます。緊張緩和、血行促進、免疫力を高めるなど、ストレス解消以外にもさまざまな効果が期待できます。自分の周りで笑いを誘う「面白い話」をしたり、聞いたり、見たりすること、コメディや芝居や落語、漫才で「クスクス」笑ったり、「ゲラゲラ」笑ったりすることーー面白探しアンテナをたてることーーがエゴレジ力をアップさせます。

 

笑い」でヒトの心を癒す取り組みをしているアメリカの精神科医ハンター・キャンベル・アダムスも忘れてはならない笑いの研究の先生です。通称のパッチ・アダムスは、「笑い」によって心の病を癒された患者の一人がつけたあだ名だそうです。パッチは「ばんそうこう」の意味で、心の痛みに笑いという「ばんそうこう」を張ることに由来すると言います。トム・シャドヤック監督で、ロビン・ウィリアムズの主演による映画『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』の実在のモデルです。

🔴笑いの運動効果

声を出して笑うときは腹筋など多くの筋肉を使います。「消費カロリーが安静時より10~20%増加。10~15分の笑いで1日のエネルギー消費を10~40キロカロリー増やせるとの報告もあります。「笑うこと自体が有酸素運動になる」とも指摘されています(大平哲也教授:福島県立医科大学医学部疫学講座)。

笑い方にもいろいろありますが、「ゲラゲラ笑う」ことが一番「副交感神経」を刺激するといわれています。また、ゲラゲラ笑いは、笑いすぎておなかが痛くなったりしますが、これは横隔膜を機能させ、腹式呼吸にもなっているので健康にとてもよいことなのです。とりわけ、ゲラゲラ笑うことで衰え始めた顔の表情筋を鍛えることができるので、美容効果も期待できます。

🔴笑いのストレス軽減効果

誰もが知っているように、笑いにはストレス軽減効果があります。その理由は2つ。

●セロトニン 笑うことで脳内ホルモンのセロトニンが分泌されるからです。セロトニンとは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、心のリラックスに欠かせないホルモンです。

●ドーパミン やる気スイッチをオンにしてくれるホルモンとして有名なドーパミンですが、笑うことでドーパミンも分泌され、やる気をアップさせるだけでなく、ストレスホルモンの分泌を抑える働きもあります。

🔴ニセ笑いの効果

先にご紹介した大平教授によれば、運動効果もストレス軽減効果も、「笑い」の基準は「声に出して笑う」ことです。少しおかしいと思われるかもしれませんが、落ち込んだときには、形だけでも笑顔をつくり、声を出して笑ってみましょう。実は、そんな形だけのニセ笑いでも、脳は笑っていると勘違いして、リラックス作用が強くなるのだそうです。「笑いヨガ」はその応用でしょう。

「幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」とはアランのペンネームで活躍したフランスの哲学者の言葉ですが、「笑うこと自体が幸福につながる可能性がある」そうです。笑いは自然に出るものと思われがちですが、実は習慣の影響も大きいのです。笑うときに働く大頰骨筋(だいきょうこつきん)、通称「笑い筋(わらいきん)」は使わないと動かなくなってしまいます。口角をあげてニコニコするだけでもよいので、積極的に「笑い筋」を動かし、笑うことを習慣にしておくことが、笑いのパワーをたくさんもらうための一歩になるのです。

最後に、東京大学大学院の近藤尚己准教授(公衆衛生学)の研究では、同じ「笑う」行為でも、誰かと一緒に笑うのか、テレビなどを見て一人で笑うのかで、健康効果に差は出るそうです。人が集まって楽しいおしゃべりが始まれば、必ず笑いが生まれます。面白探しアンテナをたて、人と集まる機会が楽しくなるような、笑わせるネタを用意しておくのもいいでしょう。そんな面白探し生活がいつのまにかエゴレジ力をアップしてくれるのです。