「一年の計は元旦にあり」という言葉はよく知られていて、「今年こそは」という願いも込めて年初に新しいことをはじめるケースが多くみられます。「一年の計は元旦にあり」の由来としてあげられるのは、中国の明代に憑慶京という学者によって著された書物「月令広義」です。「月令広義」は中国の伝統的な年中行事やしきたりが解説されており、そのなかに「一日の計は晨(あした)にあり、一年の計は春にあり」という一文が記載されています。
晨は朝のことを指すもので、朝と書くこともあります。春は正月を意味していて、全体では、1日の初めである朝や一年の初めである正月にこそ計画を立てるべきである、という意味です。
「一日の計は晨にあり、一年の計は春にあり」のあとには、「一生の計は勤にあり、一家の計は身にあり」という言葉が続きます。
全体では初頭に計画を立てることで日々の充実度が決まり、勤勉に働くことで一生が決まり、健康維持によって一家の行く末が決まるという意味合いになります。このなかの「一日の計」「一年の計」「一生の計」「一家の計」を合わせて「四計」といい、よき人生の設計に欠かせない大切な計画とされているものです。
🔴「計画性」とは?
経済産業省が発行している、「今日から始める 社会人基礎力の育成と評価」(2008)では、職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事をしていくために必要な基礎的な力(社会人基礎力)を構成する12の要素の1 つとして,「計画力」が挙げられています。
というのも、次のような研究結果があるからです。
「生活管理能力に基礎づけられた日常的な規則正しい生活が営まれることによって,主観的な健康感が増大し,身体的な疲労症状が減り,加えて肯定的な自己意識や時間的展望が高められるといった効果が現れた」(都築,2010)。
つまり、計画性を持つことによって、健康・疲労軽減・時間的気持ちの余裕が得られ、社会で働くうえでかなりのメリットとなるから必要とされているのです。
「今日から始める 社会人基礎力の育成と評価」では、計画性というのは「課題の解決に向けたプロセスを明らかにし,準備する力」と定義されています。
では、計画性を身につけるために、どのような行動が求められるのでしょうか?
🔴計画性を身につけるために必要なこと
先の論文では、計画性を身につける方法を模索するために、テストを受けた大学生に計画性に関するアンケートに答えてもらい、テストの結果が良かった大学生と悪かった大学生の計画性の違いを調査しています。その結果、テストの結果が良かった大学生には、計画性に共通の特徴がみられました。
この共通の特徴を元に、計画性を身につけるために必要なこととして、次のような点が挙げられました。
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3.に関しては補足があります。これは、「あなたは何のために計画を立てますか」という質問で、成績の悪かった生徒の多くが「予定を立てることで『やらなくてはいけない』という焦燥感が得られるから」という項目にチェックしており、一方、成績の良かった生徒たちの多くは「課題などをスムーズに実行するため」と答えていました。つまり、計画を立てる理由に「自分を焦らすため」と考えるのは有効ではないのです。
計画性は、社会で長く効率的に働くうえで、必要になってくる能力です。その計画性を身につけるためにも、常日頃、ゆとりのあるスケジュールを立て、何が自分のスケジュールを乱すのか意識し、ただ計画を立てて満足するのではなく、実行するために計画を立てることが必要です。
あなたは『計画性』がありますか?それとも行き当たりばったりで何とかなるだろうと思う計画性のない方でしょうか?どちらが良いという訳ではありませんが、計画をきちんと立てられる人は作業の効率も良く時間を無駄にすることが少ないでしょう。一方、計画性に欠ける人は、無駄なことに時間を使ってしまったり、小さなミスも多くなる、また何か予測していなかったことがあった時に対処ができないという傾向があります。
計画は計画通りに進めるために立てるのではなく、むしろ想定外のことが起きた時のために立てておくべきことです。最初は面倒に感じるかもしれませんが、日常の小さなことから計画性をもって行動していくことによって、徐々に計画をすることが当たり前の習慣になります。
「一日の計」「一年の計」「一生の計」「一家の計」の「四計」は、よき人生の設計に欠かせない大切な計画だとされています。チャレンジ精神旺盛なエゴレジさんには、計画を立てることで日々の充実度が決まり、勤勉に働くことで一生が決まり、健康維持によって一家の行く末が決まるということわざの意図を踏まえて、「一年の計」を考えてみてほしいと思います。