🔴凹んだときの第1ステップ!
誰でも、落ち込んでしまうときや、凹んでしまうときがあります。そんなときにエゴレジ力を発揮するスイッチをオンするために、必要なのは即効性のある対処法。不安や悩みを断ち切って、とりあえず顔をあげて前を向くことです。
メンタルトレーナーでスポーツクラブ経営者でもある笹氣健治先生によれば、その第1ステップは「マイナス感情を断ち切る」ことです。凹んだり落ち込んでいるのは、マイナスの感情に支配されていることが原因。まずは、マイナス感情を断ち切ることを考えましょう。
1.マイナスの感情を思い出さない
つらい、悲しい、痛いといったマイナスの感情は、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感からマイナスの刺激を受けたことに、脳が反応したものです。脳はマイナスの感情を起こすと同時に、マイナス刺激から身体を守るために、いろいろな器官でホルモンを分泌したり、筋肉を緊張させたりします。これが「ストレス反応」といわれるものです。
ストレスやマイナスの感情を消そうとすると、その原因になっているマイナスの刺激を思い出すことになるので、いつまで経ってもマイナス感情を断ち切ることができません。マイナス感情は、自分の意思とは関係なくわいてくるものですから、なくすことはできませんし、一度わいてしまったら消すこともできないのです。では、どうすれば断ち切れるかというと、忘れるしかないのですが、忘れようと意識すれば思い出すわけですから、無意識のうちに忘れる方法を考えなければいけません。
2.積極的にプラスの刺激を求める
自分の意思とは関係なくわいてくるマイナスの感情に対して、心地よい、楽しい、うれしいといったプラスの感情は、自分で積極的に増やすことが可能です。そのためには、五感で受けるプラスの刺激を増やせばいいわけです。
心地よいことや楽しいことをすればいいのですから、難しいことではありません。大切なのは、「没頭するくらい」という接頭語が付くこと。没頭するくらい心地よいこと、没頭するくらい楽しいこと、没頭するくらい美味しい食事、などです。何が心地よいか、何が楽しいかということは、人それぞれ違います。趣味、マッサージ、食べ物、何でもいいので、日頃から没頭できることをもつことが前向きになるコツです。プラスの感情に没頭することで、無意識のうちにマイナスの感情を忘れることができるのです。
ポジティブ心理学者であるフレデリクソン博士は「人間が幸福を感じる転換点は、ポジティブな感情とネガティブな感情の比が2.9013(約3)のバランスにある」と結論付ける論文「Positive Affect and the Complex Dynamics of Human Flourishing」を発表されました。これは、否定的な感情の量を1としたときに、それを約3倍上回る肯定的な感情がある場合に人は幸福を感じるというものです。
🔴凹んだときの第2ステップ!
自分にはどうしようもないことで、悩んでいませんか?自分が生まれた場所や時代、どのようにして育ったかということも変えることはできません。自分の思い通りにならないことを嘆いたり、恨んだりしても、マイナスの感情を増やすだけで、状況を改善することはできないのです。自分で変えられないことは、受け入れるしかありません。そこからプラスに転換する方法を考えるのが、前向きということなのです。
■過去は変えることができない
過去は変えることができませんから、仕事の失敗をクヨクヨと悩んでいても何も状況は変わりません。つらい時間を増やして、ストレスを溜めるだけです。過ぎてしまったことは仕方ないことなのですから、スパッと割り切ってしまい、今できる最善の方法を考えるべき。1秒でも早く割り切れば、それだけ早く感情を前向きに転換することができます。
過去にどのような人生を送ってきた人でも、ムダな人生というものはないのだと考えましょう。過去があって今の自分があり、未来へとつながっていきます。どんなことがあったとしても、「なぜ、あんなことをしてしまったのだろう」「あの日さえなければ、今はもっとラクだった」というようにマイナスととらえるのではなく、「あの失敗は貴重な体験だ」「失敗しなければわからないことだってある」と、自分に都合よくとらえたほうが得です。
■他人のことを変えようとしない
人の心も変えることができません。人間関係がストレスになって、マイナス思考から抜け出せないことは、誰にでも経験があるはずです。職場では、嫌いな上司や苦手な部下のことで、ストレスを溜めてしまう人が多いでしょう。人間関係の悩みは、どのような職種でもトップ3に入る要素です。なぜ人間関係で悩むかというと、その相手が自分の思うとおりにならないから。「無理難題ばかり投げかけないでほしい」「自分を困らせないでほしい」「苦手なタイプだから話しかけないでほしい」といった思いがあっても、それが裏切られるから悩むのです。嫌いでも苦手でも、相手のことは変えることができないのですから、そういう人だということを受け入れて、適度な距離感を保つのが人間関係で悩まないコツです。
🔴凹んだときの第3ステップ!
脳科学者の岩崎一郎先生は、運動というフィジカルな要素でマイナス思考を断ち切る方法を提案しておられます。運動は、脳にも大きな影響を与えるのです。
■運動の抗ストレス効果と鎮静効果
適度な運動にはストレスを軽減して、不安を解消する鎮静効果があります。とくに、ウォーキングやジョギング、サイクリングやスイミングといった有酸素運動は、効果が高いといわれています。有酸素運動は、筋肉に比較的弱い負担を長い時間かけることによって、体内に蓄積している脂肪を燃焼する効果があります。体内に十分な酸素を取り込むことによって、脂肪細胞の燃焼に使われると同時に、脳が活性化するので不安感が解消します。
不安感は、緊張による身体の震え、呼吸困難、動悸、激しい発汗など、身体にも症状が現れます。これは、自律神経のバランスが崩れていることが大きな原因になっているのですが、有酸素運動を行うことによって自律神経を整えることもできるのです。ここでも大事なポイントは、身体にムリな負荷をかけないこと。自分の体力やペースを上回るような負荷をかけると、逆効果になって危険です。
■血流改善で脳機能を高める
自分の体力に見合う有酸素運動とともに、前向きになれる状況をつくる運動として適しているのがストレッチです。ストレッチは、筋肉を伸ばして血流を改善する運動で、筋トレのように鍛えるのではなく、柔軟な筋肉をつくります。ストレス反応や疲労によって筋肉が緊張すると、ギュッと収縮するので血行が悪くなります。すると、筋肉内の老廃物が排出されずに蓄積し、コリや痛みを訴えるようになります。この状態を続けると、血行不良が重大な病気を招くことも。コリや痛みは、この状態が続くと危険ですというサインなのです。デスクワークでパソコンを長時間使うような人は、首や肩のコリが慢性的になっていることも多いでしょう。首や肩のコリは、頭部の血流を悪化させてしまうので、脳機能が低下して前向きな考え方ができなくなります。前向きになる方法を求めるのであれば、とくに上半身のストレッチを欠かさないようにしましょう。
「失敗したとき、後悔の気持ちを長く引きずってしまう」「人と自分を比較して、焦ったり落ち込んだりする」「相手に言いたいことがあっても、なかなか言いだせずに悶々とする」そんなクヨクヨ悩む時間はできるだけ少なくしたいものです。
マイナス感情を断ち切るヒントを参考にして、気持ちを切り替えてエゴレジのスイッチをオンにしましょう。