エゴレジは幸福感ともとても強い関係があります。エゴレジ力の高い人ほど幸福感は高くなる傾向があるのです。海外での研究も多数ありますが、今回は私たちが行ったエゴレジと幸福感の関係の研究結果の一部をご紹介します。どの世代についても、幸福感は「どのくらい幸福ですか」を10点満点で回答してもらっています。

大学生の場合

エゴレジ力の高い学生は自分の直面した状況下でポジティブに物事をとらえる傾向が強く,ポジティブ感情を介して幸福感を向上させることが実証されました。

エゴレジは,日々の出来事やストレスに対して柔軟に自我を調整して,状況にうまく対処できる力です。エゴレジ力を発揮することでポジティビティを高め,その結果として幸福感も高くなることがわかりました。

★大学生345名/平均年齢;19歳

中年期成人の場合

中年期成人(46~60歳)男女のエゴレジ力は、ダイレクトに幸福感を高める働きをすることが実証されました。それと同時に、エゴレジ力がメンタル面での安定にも影響を及ぼし、メンタル面での安定を介して幸福感を高めていることがわかりました。

中年期になると、日常生活でのストレスも学生時代とは異なって複雑な状況になってきます。エゴレジ力を高めることで、メンタルの安定を維持し、自分のまわりにある幸せに目を向けることができるようになるのではないかと私達は考えています。

★中年期成人618名/平均年齢;53歳

 

成人男性の場合

働くサラリーマン男性(30~59歳)のエゴレジ力と幸福感の関係では、ちょっと違った結果になりました。

男性サラリーマンのエゴレジ力は、ダイレクトに幸福感に影響を及ぼすことはなく、仕事上の満足や家庭的満足感、健康上の満足感と関係していました。そしてこのうち、仕事上の満足感と健康上の満足感を介して幸福感を高めているという結果です。エゴレジの柔軟な自己調整力によって、仕事でも家庭でもストレスを緩和し、うまく対処することで満足感が高められ、健康も維持できていると考えられます。

 

一方で、男性サラリーマンの幸福感は、経済的な満足が大きく影響するようです。一般に、男性の方が女性より幸福感は低いとされています。多くの場合、女性は今現在の自分にある幸福を感受できるのに対し、男性はそれができないようです。しかし、経済的な要因をコントロールして比較すると男女に差はなくなります。男性には、経済力がなければ幸福ではないという思い込みがあるのかもしれません。

★成人男性222名/平均年齢;42歳